LISTENERS

SPECIAL

TRACK02 LINER NOTES

第2話のモチーフとなっているのは、ノイズミュージック。どちらかといえばアンダーグラウンドなイメージの強いジャンルだが、エコヲたちの「敵」となるミミナシの存在を、比較的早い段階ではっきりさせておくために、このジャンルを取り上げることになった。

ひと口に「ノイズミュージック」と言っても射程範囲は非常に広い。例えば、ルー・リードが1975年に発表した全編ノイズまみれのアルバム『メタル・マシーン・ミュージック』は、その先駆けといえる一作。その後、70年代中盤にはスロッビング・グリッスルやキャバレー・ヴォルテールといった先鋭的なバンドが次々と登場するようになるが、アカデミックな実験音楽などとも共振しつつ、その水脈は受け継がれ続けている。

サブタイトルの「半分人間」は、ドイツのインダストリアル・バンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの3rdアルバム『半分人間(原題:Halber Mensch)』より。三姉妹のセリフに登場する「コラプスの因子」は、同バンドの1stアルバム『コラプス(原題:Kollaps)』、舞台となる「メルレの森」は同じく2ndアルバム『患者O.T.のスケッチ(原題:Zeichnungen des Patienten O. T.)』の収録曲から、それぞれ採られている。三姉妹が身に着けている面布の模様も、ノイバウテンのバンドロゴがもとになっているようだ。

(左から)シュテュル、アイン、ツェンデ

また三姉妹がしばしば口にする「ダダ」とは、第一次世界大戦(1914~1917年)に呼応するように、ヨーロッパやアメリカで広がった芸術運動のこと。制度化した既存の芸術を否定・破壊・逸脱し、戦争で荒廃した世界を(ときにユーモアとともに)表象しようとした運動といえる。互いに矛盾するものが同居する、三姉妹のアイロニカルな言葉遣いは、多分にこの「ダダ」的な発想から来ているのだろう。ちなみに、エコヲが迷い込んだ怪しいトイレには、ダダの周辺で活動していた芸術家、マルセル・デュシャンの代表作のひとつ「噴水(泉)」によく似たオブジェが置かれている。

メルレの森のトイレ

ちなみに、エピソードの中盤、エコヲが祈手名鑑をそらで読み上げる場面で名前が挙がっているエクリ・プトン、ポリィ・B、Dr.キュラ・スペクタは、それぞれエリック・クラプトンバディ・ホリーフィル・スペクターがモデル。外見もどことなく、元のモデルを想起させるルックスになっている。

エクリ・プトン
ポリィ・B
Dr.キュラ・スペクタ
back