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TRACK 07 LINER NOTES

(第7話/コラム)

 第7話からは、エース元帥率いる軍部によって圧制が敷かれる街・ロンディニウムに物語の舞台が移り、物語の雰囲気もガラリと変化。ロンディニウムのモデルとなっているのは、イギリスの首都・ロンドンだが、この街はポップ/ロック・ミュージックの世界においても、数々のムーブメントの中心地であり続けている。

 そんなムーブメントの中でも、特に後世に大きな影響を及ぼしたもののひとつが、ロンドン・パンクだろう。もともとは60年代後半、アメリカのアンダーグラウンド・シーンから始まったパンク・シーンだが、70年代中盤にはその波がイギリスにも波及。初期のロックンロールを引き継いだようなシンプルな楽曲構成と激しいステージパフォーマンス、そしてダメージジーンズや革ジャン、安全ピンといった独特のファッションとともに、当時の若者たちから絶大な支持を得た。

 サブタイトルの「怒りの日」は、そんなロンドン・パンク・シーンを代表するバンド、セックス・ピストルズの唯一のスタジオアルバム『勝手にしやがれ!!(原題:Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols)』(1977年発売)の収録曲「Problems」から。この第7話に登場するゲストキャラクター、ライドとリッチーはそれぞれ、セックス・ピストルズのメンバーだったジョニー・ロットン(のちに本名のジョン・ライドンに改名)シド・ヴィシャス(本名はジョン・サイモン・リッチー)をモデルに、キャラクターの造形が進められている。

 またセックス・ピストルズに由来するキーワードが、本編のあちこちに散りばめられているのも第7話の特徴。ヴィヴィアンにクリスマスケーキの受け取りを頼まれる場面で、ライドが口にする「俺はアンチ・クライストなんでね」は、彼らの代表曲「アナーキー・イン・ザ・UK」から。ラストの特攻シーンでライドとリッチーが叫ぶ「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」は、そのまま彼らの楽曲名から採られている。

 当時、イギリス社会を襲っていた大不況を背景に、イギリス王室や政府、大企業に対する過激な歌詞とスキャンダラスな振る舞いで賛否を巻き起こしたセックス・ピストルズだが、そんな彼らの言動もまた、ライドとリッチーのキャラクター造形に大きな影響を与えている。

 加えて、ロンディニウム軍が対ミミナシ戦用に準備を進めている「オペレーション・ゴッドファーザー」は、イギリスのバンド、ザ・フーが73年に発表したアルバム『四重人格(原題:Quadrophenia)』に収録された楽曲「少年とゴッドファーザー(原題:The Punk and the Godfather)」から。この曲の歌詞は、不良少年(the punk)と教父(the godfather)の対話形式になっているが、それぞれライドたちとエース元帥ら、ロンディニウム軍の上層部の立場が反映されているようにも読み取れて、興味深い。また次の第8話「リアル・ミー」のモチーフになったジャンル、モッズとの懸け橋の役割も果たしている。

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