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TRACK 05 LINER NOTES

 この第5話でエピソードの中核を担うキャラクター、殿下のモチーフとなったのは、アメリカ・ミネアポリスが産んだマルチクリエイターにして鬼才、プリンス。サブタイトルの「ビートに抱かれて」は、彼が1984年に発表したアルバム『パープルレイン』に収録された「When Doves Cry」から。エピソードの冒頭、拠点となる銀河宮殿のペントハウスで、バスタブに浸かっている殿下のシーンは、この「When Doves Cry」のMVのイメージに触発されている。そのほかにもこのエピソードには、プリンス関連のモチーフは目白押しだ。 

 まず、物語の舞台となるペイズリー・パークは、プリンスの自宅兼スタジオの名称から。また後半で、エコヲたちがイクイップメント・バトルに挑むファースト・アベニューは、プリンスが製作を手掛けた映画『パープル・レイン』に登場したナイトクラブ。このナイトクラブは、ペイズリー・パークと並んで今でも多くのファンが訪れる聖地になっている。またミュウがアルバイトをすることになる妖しげなクラブ・ラブセクシーは、プリンスが88年に発表したアルバム『Lovesexy』から。さらにエコヲが働いている工房、ニュー・パワー・ジェネレーションは、90年代前半に彼が率いていたバンドの名称から採られた。

 加えて劇中の殿下のセリフにも、プリンス関連のものが多い。彼がたびたび口にする「革命」は、プリンスが80年代に率いたバンド、ザ・レボリューションから。冒頭のシーンの「サイン・オブ・ザ・タイムス」は、1987年発表の同名アルバムから(このアルバムのリリースに合わせて行われたツアーは、同名の劇場映画として映像化されている。街中の雰囲気は、この映画が参照されている)。「彼と過ごした15日と7時間」のくだりは、プリンスがザ・ファミリーに提供した楽曲「ナッシング・コンペアーズ・トゥ・ユー」が元(この曲は、1990年にシネイド・オコナーがカバーし、大ヒット。のちにプリンス自身もセルフカバーしている)。

 また、ミュウが働き始めるいかがわしいバイトは、プリンスが音楽を務めたスパイク・リーの映画『ガール6』から。この映画には、面接官役でクエンティン・タランティーノが出演しているが、そのままこのエピソードのミュウとエコヲの面接官役(クエント)のイメージに重ねられている。

 プリンスにとってジミ・ヘンドリックスは尊敬する先達であり、また敬愛するアーティストのひとりでもあった。そんな2人の関係が、このエピソードの殿下とジミの関係にも重ねられているのかもしれない。

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