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TRACK 04 LINER NOTES

 サブタイトルの「ティーン・スピリット」は、90年代初頭のアメリカを席巻したグランジ・ムーブメントを牽引したロックバンド、ニルヴァーナの代表曲「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」(90年)から。曲タイトルの「ティーン・スピリット」は、実在する制汗剤の商品名から採られているが、本編劇中でも同じく制汗剤(のフリをした向精神薬)として登場している。

 このサブタイトルを筆頭に、ニルヴァーナに関係する要素が散りばめられているのも、第4話のポイントだろう。ゲストキャラクターであるニルのモデルとなったのは、ニルヴァーナのボーカリスト&ギタリストであるカート・コバーン。学園でニルとタッグを組むホールの名前はカートの妻、コートニー・ラブがリーダーを務めた同名バンド(Hole)から。アヴァンパートの黒板に書かれた落書きと終盤のミュウとの戦いで、ニルが口にするセリフは「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」、またエコヲのAMPを奪ったニルが校舎を破壊するシーンでは「リチウム」の歌詞が、それぞれ引用されている。

 この第4話では、グランジ・シーンに加わったロックバンドがゲストとして顔を見せている。ミュウとホールが部室棟で出会った泥だらけの4人組は、ニルヴァーナと並んでグランジ・ムーブメントを代表するバンド、マッドハニーがモデル。数学愛好会なのは、彼らの最初のバンド名(ミスター・エップ・アンド・ザ・カリキュレーションズ)が数学教師の名前から採られたというエピソードから。

ほかにも、ミュウたちが学園内を探索するシーンには、ティーンエイジ・ファンクラブ(掲げている「I WANT YOU」の横断幕は彼らの代表曲のひとつ)、ダイナソーJr.(恐竜の化石を掘っている3人組)、ピクシーズ(妖精と話している図書部員)らをモデルにした生徒たちが登場。また、フリークシーン・アカデミーの校長は、グランジ・シーンに先行して活躍し、多大な影響を与えたオルタナティブ・ロックの雄、ソニック・ユースのベーシスト、キム・ゴードンがモデルだ。

 舞台となるフリーク・シーン・アカデミーの名称は、前述したダイナソーJr.の出世曲「フリーク・シーン」から。スラッカー(怠け者、さぼり屋の意味。もともとは兵役を拒否する人々を指した)・カルチャーを象徴する名曲だが、この曲に登場する「友達」の存在など、第4話のエピソード全体を包むモラトリアムな空気感、思春期特有の焦燥や閉塞感、理由のないいらだちといったモチーフとも呼応しているように思える。

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